Body Arts Laboratoryinterview

Aokid 僕がWWFesで企画したのは、WWFesはダンサーが立ち上げてるフェスティバルで、僕と福留さんはダンサーで、じゃあここで何をキュレーションしようかなと考えた時に、僕が思いついたのは、体を使って、自分の体だけじゃなくて、楽器を使ったり、道具を使ったり、自分の上演作品においても、「編集作業」みたいなことがたくさん入ってくるようなダンサーとかパフォーミングアーティストとかそういう人たちをダンスの場所にキュレーションしてみようということで考えました。僕自身も、パフォーミングアーツみたいな、山川冬樹さんとか飴屋(法水)さんとかコンタクト・ゴンゾとか、そういう人たちを、ちょうどコンテンポラリーダンス見始めた頃にみる機会があって、そういうことに関心がずっとあって、それこそメンバーの1人のたくみちゃんとかの美術のイベントを見た時に、ダンスを拡張しているというか、ダンサーの人たちが積極的に扱わない素材とかを用いてやっている姿に面白いな、と思って、そういうことを改めてプレゼンテーションしたいなと思って、この3人を呼ぶことにしました
3人はやろうと思えばすぐにセッションとかできてしまうと思うんですけど、楽器やってる人とか、道具を使う人は、公演てあんまりしなくて、一回集まってすぐ何かやるっていうセッションていう形が多いと思うんですけど、それだけじゃなくて、3人は、そういう何かを使ったりする編集作業とかももちろんするんですけど、自分の体で遊ぶとか、みんな1人で立てる思考と身体を持ってるから、体も使えるし頭も使えるし道具も使えるしっていうその三者をどうプレゼンテーションしようかなと思った時に、例えば、デッサンしてもらうとか、自分の方法論を共有したり、そういうプロセスを経ることによって、普段照らされない面もプレゼンされたらいいなと思っていて。
ダンス公演だったら、公演して終わりだけど、あの4日間は、展示みたいに扱うこともできるなと思っていて。展示とか、作ったものを、パフォーマンス以外にもみることも、その人のことを知りうる方法になるんじゃないかなと思って、絵を描いてもらったり、あそこに入る前に写真を撮ってください、とか、それはTumblrに上がっているんですけど、それぞれが撮った写真に、手を加えたり、言葉を書いたり、そういうインストラクションとかも実はやっていて、どうやって人が作ったものに介入していけるかっていうのを、会場入りする前からやったりしていました。

福留 へー!そのインストラクションはAokidくんが、3人の方に日々してたんですか?

Aokid フェスが始まる前の2回くらい集まる時間があって、そこでみんなでラップを作ったり、一度セッションみたいなことをスタジオで行ったり、それぞれがやってきたことをプレゼンしてもらったりしてました。カフェで1人30分ずつとか。

村社 あ、それ知ってますね。Tumblrとかで見たのかな。

福留  Aokidくんの企画に参加していたみなさんは、フェスの間、割と常にいるみたいな感じで、いない時もあるけど、割とこの場の常連みたいな。お互い密な交流をするわけではないけど、常にいるなー。みたいな感じがありましたよね。

村社 レギュラーメンバーでしたね。面白いですよね。

Aokid  レギュラーメンバー感ありましたね。

福留 さっき話していた、3人が編集作業をしているっていうのはどういうことなんですか?

Aokid   なんだろうな、パフォーマンスにおいて、ダンサーはこれ踊りだからって言って踊り続けることはできると思うんですけど、そこに例えば言葉が入ってきたら、違う視点を持たないと、ダンスの延長として見れなくなるみたいなそういう仕掛けが、例えば橋本くんの上演には起こってくるとか、ハラ(サオリ)さんも結構上演の時に言葉やプロダクトを使ったり、村上(裕)さんだったら映像を使ったり機材をたくさん持ってきたりするんですけど、そういう方法の見方をいくつも上演の中で用意するとか、そういうことが起こるなと思っていて。
お互いのことを補強しあうというか、自分の得意なもの苦手なものがそれぞれにあって、一緒にやる中で一回のセッションだけではそういう気づきは無いかな、とは思うんですけど、一緒にやる中で、お互いのことを助け合っていくんじゃないかなと思っていて。一人一人で自立したパフォーマンスをしている人をお願いしたいなと思って。

福留 ハラさんは、いわゆるダンサーというか、ハラさんのしている動きはいわゆるダンスと捉えられると思うんですけど、たくみちゃんとか村上さんは、ダンスと捉えることもできるかもしれないけれど、線引きが難しいというか、なんと捉えればいいのか微妙なところだなというのは思いました。

Aokid  そうですよね。雑ですが西洋的に見れば全然ダンスじゃないと思うんですよね。

福留 その辺、ダンスを何とするのか、というか、一応ダンスのフェスだったじゃないですか。だからその辺の考え方みたいなのは、みんなどうしてるのかなというのは気になったりはしていて。

Aokid  そうですね。道具を用いる中にある体とか、そういうものを単位として持ってきたいなというのはあります。

福留 4日間、毎日何かしらやっていて、お客さんの反応はどうだったのかな、というのは気になりました。見せるっていうことに重きを置いていないように見えたので。

Aokid そうですね、僕自身も上演っていう時の集中力もあると思うんですけど、それにあんまり縛られてないというか、色々な状況で見うることは可能だと思っていて。例えば、稽古場で話し合ったりしていて、じゃあやってみようか。っていうこととかあると思うんですけれど、それはあんまり本番では許されないとは思うんですけど、そういうプロセスから見せることで、サービスではなくて、こういうことも面白いんだ、っていうようなことを共有できたらいいなというのはあって。それを見て、じゃあ、私たちも明日、お互いの家に集まってお互いの絵を描いてみましょうよ、これを頼りに踊って見ましょうよとか、そういうことが起きたらいいなというのはあって。
3人に与えたインストラクションはすごく素朴なもので、絵を描いてください。とか、そのへんの写真を撮ってください。とか、それぞれ曲を持ち寄って、誰かがいいなって思ってた曲でそれぞれ踊るとか、ラップを作るとか。素朴とは言え、唐突でもあったので最初はもしかしたら、え!この意図はなに?!とかって思ったかもしれないですが。
そういう、誰でもできる学校の自己紹介カード書いてきて、じゃないけどそういう中で見えて来ることもあるんじゃないかなと思って。セッションとかもそんなに特別なことでもないと思うんですよね。そういうことをなるべく明かしたいな、というのもあって。

福留 なるべく明かしたいな、っていうのはあの場で、こういう作り方もあるよっていうのをプレゼンしたいっていうようなこと?

Aokid そうです。そういうことをダンサーの人とかに見せれたら、違う作品の作り方が生まれたりもするかもしれないとか。

福留 WWFesの場自体が、色々なことを受け入れる器みたいなものがあった気がしていて。さっきの村社さんの企画でも「ワイルドな場」っていうような言葉が出てきてたけど。

村社 アイデアとしては通ずるところがあるかもしれないですね。3組ですしね。

福留 たしかに。でも村社さんからは、どう見えてたんですか?それぞれ絶妙な距離感があった気がするんですけれど。

Aokid 結構、的確なアドバイスを村社くんから、メンバーの人に言ってくれたりもしていて。この関係も面白いなと思っていて。

村社 そうなんですよ。私はそれを引き受けてたんですよ。そういう風に、誰かに見てられるとか、何か言われるっていうのが外部から起きたら面白いなと思って、結構言ってたんですよ。わざわざ。

福留 えー!そうだったんだ?どういうこと言ってたの?

村社 あんまり覚えてないです(笑)。

Aokid 絵を見ながらハラさんのアカデミックな出自なんだってことをわかったりとか。それでそういう意見も日が経つにつれて変わってきたりして。最初はハラさんの線がすごくいいって言っていたと思ったら、最終日には村上さんの線、これやばいですねって言ったりしていて。

福留 線っていうのは?

Aokid その描いた絵の線ですね。村上さんの良さも村社くんは知ってるっていうのが嬉しくなったりしました。かなり客観的な意見を色々と。

村社 そうそう、やっぱり3人の実践ていうのは、連日やっているのでなんか知らないけど見てるんですよね。それが日を追うごとにどう変わっていくのかっていうのも見ちゃってるので、木内(俊克)さんと一緒に「いやダメだよね」とか「今のすごかったね」とかをAokidさんからもクローズドで話してたりもしてました。

福留 全然知らないことが起こりまくってた感じですね(笑)。