Body Arts Laboratoryinterview

村社 野球中継ってあるじゃないですか。それを、家族とか次の日学校とかでみんなで話してる感じですね。みんなが見れる、しかも見えちゃうやつ。

Aokid 野球中継やばいね。

村社 野球中継いいですよね。これAokidさん絶対好きなやつだなと思って今言いました。

Aokid 次回、スポーツとか野球中継とかいいね。コンセプトとして持ち込めたりしたら。

村社 あとあれ、面白くないですか?父親と、野球を見てたりするときに、全然野球に詳しくないのに、「ダメだなあの采配」とか、言ったりするんですけど、あれってどこでも起こってる気がするんですよね。詳しくもないのに論じようとする場面。

Aokid 僕は家ではなるべくもう言わないようにしてる(笑)。その時だけいうなよ、っていう態度だから(笑)。

村社 その時だけいうなよっていうのがなぜ、あんなに軽やかに投げ合われるんだろうっていうのがありますよね。でも野球中継の感想戦ってそうだと思うんですよね。サッカーとかでも、家だけじゃなくて、後日、学校とかで少年がボロクソ言ったりするじゃないですか。

福留 その時はなんでも言えるっていうのがあるのかもですね。そういうずーっといて、色々言ってる人がいるっていうのもいいですよね。

村社 そうそう。テニスで言ったらボールマンみたいな。ただで会場にずっといれる、みたいな。そういう存在だったんですよ。キュレーターは。

Aokid  たしかに、広太さんちょっとボールマンみたいだったよね。ずっとちょっと距離のある場所にいて、ボールが転がってきたら走るみたいな。

福留 今思い出すと、その企画の人がいて、そのちょっと外側にいる観客とか関係者がいて、そのさらに外側に広太さんがいる、みたいな感じだったよね。何層かの、観客席の輪があった気がします。

村社 わかります。なんかちょっと特別だったんですよね、キュレーターは。それがすごく幸せで。他の人のトークとか聞いてても、自分だけちょっと素敵な椅子に座っているような。あれ面白かったですよね。

福留 その感じを、キュレーターとか関係者だけじゃなくて、訪れた人たちも何かしらの形で体験できるような仕組みを考えられるといい気がする。

Aokid そうですね。例えば、チケットもA席、B席みたいな。このチケットならこれができる。とか。マイクを持ってインタビューできるみたいな。

村社 それいいですね。ポイント貯めると、変わっていくんですよ。権利がどんどん増えてくんですよ。

福留 権利がついてるチケットいいね。それもパフォーマンスになるし。

Aokid 審判とかもいたりして。イエローカードとか持ってるみたいな。

村社 3週間くらいのイベントだったら、2週間目にはもうキュレーターになってるんですよ。3週目にはもう企画持ち込むみたいな。

福留 たしかに!そのために時間空けとくとかもいいかもね。昇格してくんでしょ? あと例えば、いぬのせなか座の山本浩貴さんとかに、ただでずっと見ててもらってそれを言葉にしていただいて、後半とかで、それをめっちゃ語る会とかをやるとか、そういうのがあってもいいかも?! なるほどー。次回へのビジョンもちらほら見えてきましたね。
それと同時に、一回、全体を振り返っておきたいんですけど、その前に、少し話がずれるんですが、村社さん的に、「ダンス」に対する考えとか見えかたとかって、今どうなってますか? WWFes、一応ダンスフェスだったじゃないですか?でも結構みんな拡大解釈して、そこにいる身体をパフォーマンスしてると捉えて、七里さんも撮影してたし。

村社 そうですよね。なんなら最後に撤収を手伝ってくれるお客さん自体が最終的にはすごくパフォーマティブでしたよね。

福留 そうそう、そしてさっきの話だと、ハラさんは正統的なダンスと捉えられるけど、たくみちゃんは、立ち位置として微妙というか、カテゴライズしづらいっていうのがあるけど、それはそうとして、村社さん「ダンス」についてどう思ってるのかなと思って。

Aokid 多分、こういうことが言えるんじゃないかな、と思うんですけど、スタジアムに例えるなら、ベースボールが好きじゃなくても、ホットドックを作るのが上手くて、ベースボールスタジアムにホットドック屋さんを設置したら、すごく人気があって、スタジアムになくてはならないし、スタジアムでの仕事を愛しているみたいな。野球に関してはわからなくても。そういう人が出店できたっていうのはすごく良くて。

村社 中山競馬場で言ったらモツ煮ですね(笑)。

福留 (笑)。でも身体を使うっていう意味ではパフォーマンスだけど、でもやっぱりダンスとは違うわけじゃん。村社さんがやったことは。人がそこでどう振る舞うかをダンスと呼ぶってことはできるかもしれないけど。

Aokid でも逆に、こう言えるんじゃないかなと思って。スタジアムにいるホットドック屋さんに、「あなたがやってるのはホットドック屋さんで、でもここは野球のスタジアムですが、野球についてはどうですか?このソーセージがボールですか?」みたいな。

福留 (笑)。そこまでは言わないけど、でもホットドック屋さんも野球のこともともと興味なかったけど、野球場でホットドック売ってる時に、野球の空気を感じたり、見たりするわけじゃん。その後、どう思ったかなーみたいな。広太さんが踊ったりとか、そういうダンスを見たりしたわけで。

村社 でもそう考えると、二毛作店みたいな。石井則仁さんと三東瑠璃さんがそれぞれ作品を発表した「病める舞姫をテキストにした公演」(キュレーション:山崎広太)が夜にあったじゃないですか。特別な人たちが召喚されて、空間が一つになって、ダンスが充満する。

福留 あれがあるの結構重要だったよね。

村社 あれは本当にすごかったですね。夜になるとスタジアムに入れる、試合が始まる、というのと同じですね。昼は野球場が別のイベントに使われてて、子供のチームの野球大会とか、フットサル大会とか。ただでもそういう、メインプログラムではない、子供のチームの大会に本当の野球があるんだとかサッカーがあるんだ、みたいなことはよく言われる話でもあります。高校野球の方が今は視聴率とれるとか。

福留 今回のインタビューで、七里さんとか、木内さんとか、山川(陸)さんとか、いわゆるダンスじゃない人にとって、ダンスってどういうふうに思いますか?っていうのを聞いていて。一応、ダンスのフェスだよっていうのを、度々思い出したほうがいいなっていうのを思っていて。

村社 さっき話していた共通の関心っていうのに近いんですが、印象的だったのは、例えばハラさんが、心の汗をかいていたよなっていうのをすごく思うんです。この場合は「ラップやらなきゃいけない」とか。コンペで言ったらとんでもない質問がきてそれに答えなきゃいけないとか。悪い言い方でいうと、公開処刑って言葉が今、SNSで言われたりするんですけど、もちろんそうじゃなくて、この「公開」は有機的な議論の発端になっていて、先に行くための重要な汗だと思うんです。それがダンスだったのでは、という気持ちになりました。

Aokid たしかに、それはダンスの持っている公開処刑は、そういうところあるかもね。その公開処刑を嫌うか、受け入れるか、っていうところでダンスのスタイルって変わってくるな、って思いますね。

福留 たしかに、それは、良しとされることの中に留まらずに、そこから先に行くみたいなことに繋がってるなっていう気がしますね。あの場そのものが、自分たちがそれぞれに準備していっても、隣に誰かがいることで、予想もしない障害が生まれたりするみたいな、それを障害と思うかどうかっていうのも人によって違うとは思うけれど。
結構何重にも、試される出来事が散りばめられていて、それがやっぱり面白かったなというか、大変だけど面白いみたいな、それこそ汗をかくっていうようなことがたくさんあって、それが色々な方向で起こる状況になっていたっていうことが、あの数日間の、常に何か起こり続けている感じなのかなと。

村社 Aokidさんが言っていた「自己紹介カード」っていうのに可能性を感じます。よーく書かれた自己紹介カードってすごく面白いんですよね。ただそういうものが出てくるときに大事なのが、自己紹介カードを提出する教室が、安心感のある場所かどうかっていうことで、みんなが、どうでもいいことに躓かないで、ちゃんとそれぞれの思ったことを言える環境っていうのが重要なんですよね。どうやったらその自己紹介カードを詳しくかいてもらえるかっていうのを、どう書くかを示すのではなく、何を準備してどういうかたちでパイを回すかっていうのが重要で。さっきの野球じゃないですけど、例えばゲームボーイを託されて、手持ちのポケモン6匹を捕まえてきてくれ、とかでもいいと思うんですよ。初期のポケモンて面白くて、技4つしか覚えられないんですよね。

Aokid ポケモンもいいかもだね。

福留 あ、ポケモンGOもいいかもだね。

Aokid いや、ポケットモンスターがいいと思うんですよ、テーマとして。全然、話違うけど、ポケモンクルーっていうブレイクダンスのチームが昔フランスで出てきて、世界大会で優勝したりしたんですよ。どんなクルーなんだ!?ってすごい興奮して。本当に、ポケモンみたいにいろんな技のスキルの人がいて。別に衣装とか、ポケモンぽいことは何もしないんだけど、日本人じゃないチームがポケモンクルーって言って、やるのが良くて。次のテーマは、スタジアムかポケットモンスターがいいですね。