Body Arts Laboratoryinterview

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福留 次の話につなげると、広太さんが、「再生」っていうテーマを掲げて、そのまま再演するのはどうか?って言ってたじゃないですか?それどう思いますか?

Aokid でも今、スタジアムとかポケットモンスターのアイデアが出てきて、これは、「再生」を塗り替えうるかもしれないと思って。(村社×Aokid ひとしきりポケモントーク)

福留 私は全然ポケモンわからないけど、ゲーム方式になってるのはおもしろいかもね。でも、世代的にわかる……

Aokid 実況中継パワフルWWFes。

福留 今日出たキーワードというか、さっき話していた自己紹介カードとか、村社さんが新聞家公演の時にやっていた、お客さんに特徴をかいてもらうっていうこととか。前回って、それぞれにお互いが何をやろうとしているのかわからないまま準備していて、はい空けた!わー!みたいな、状況で、それはそれで良かったんですけど、次回は、前回を踏まえた上で、割と準備の時間もあるかもしれないから、そういう小さく仕込んで行くような、時間のスパンの捉え方も、前回とは違うやり方ができるかもしれないなと思ったりもしていて。

村社 たしかに、全体が大きいので、急に場の解像度が上がる瞬間みたいなものが時々あって、例えばその新聞家の自己紹介カードもそうですけど、Aokidさん企画を観ていたときに、村上裕さんの機材が壊れて、ある意味パフォーマンスが一度止まったんですね。そしたら急に会場にいる人たちの集中の仕方が変わったりだとか、急にグーーーっといくんですよね。フェス全体のタイムライン上にいると、そういう変化をすごく感じる。

福留 たしかに、閉じられた場所でそのことが起きるのとはちょっと違う深まり方をするかもね。例えば街で突然誰かが倒れた時に急に場が緊張したりする時にみたいな。

村社 そういう感じですね。

福留 ところで、前回の反省点とかありますか?

Aokid  観客の動員ですかね。

村社 それにつなげて、アーカイブですね。そういう意味では山崎さんが言っていた、「再演」ていうキーワードは、アーカイブとして、あってもいいと思うんですよね。

Aokid  アーカイブを一つの出し物にしてもいいかもしれない。次回。

福留 例えば、さっきでていたチケットに権利がついているっていうのの一つに、アーカイブに関するものがあってもいいかもね。写真の人とか、映像の人とか、言葉の人とか。

Aokid アーカイブ自体がイベントになってるっていうのもおもしろいですね。メンバーで。

福留 来年、導入となるような、アーカイブも含めたイベントをちょいちょいやるっていうのもいいかもね。七里さんの映画もアーカイブだしね。

Aokid 僕はこのダンスがあの時のアーカイブですって言って踊るのとか。

福留 あと村社さんが「地図」っていうキーワードを出してたじゃないですか。1:1の地図というような。

村社 山川さんが教えてくれたやつですね。ボルヘスの小説に出てくる原寸大の地図。ただ少なくとも前回はそうなってたんじゃないですかと今は思うんですよ。さっき話してた「街みたいだった」っていうのはそのことかと。目指すにはすごく困難なところだとは思うんですが、ひとつのコンセプトとして外側に掲げておくっていうのもいいですよね。確かめる意味で。本当に今これ、街になってるか? というような。前回は、準備してきたものをお互いが知らないでわーっと出てくるとかそういう“たまたまそうなった”っていう要素があって、それでやっとそういう街に近づく、街の機能を実際に獲得するような瞬間があのフェス中何回かあったと思うんですよ。1人暴君が現れるとか。

Aokid あれを狙って起こすのは難しいよね。

福留 そうだよね。再生しようとした途端冷めちゃうみたいなのってある気もして。そういうのは危惧としてありますよね。

Aokid あんまり設計しようと思わないほうがいいのかもしれないとか。

福留 設計できる部分とできない部分と多分あって、木内さん山川さんのは設計しないとできなかったし、あの導線があったから、ああいう状況が生まれたっていうのはあると思う。もしも次回またBUoYを使うとしたら、あの空間設計がいいのか、もしくはあの空間がなくてもできるのかとか、そこらへんは結構大きいですよね。

Aokid  例えばポケモンとか野球スタジアムとかのコンセプトを持てば、あの空間じゃなくなる気はして、でもそこを回収しうる何かがありそうだな、と思ったりもして。

福留 木内さん山川さんはその辺結構ウキウキして考えてくれそうな気もするね。

村社 何かメインのゲームみたいなのはあってもいいかもしれないですね。前回、メインのゲームはなかったですよね。だからある時間になると、何か試合が始まらないといけないですね。

福留 ゲームとか試合とか、そういう展示か本か最近あったよね。

村社 この本ですね。『ビデオゲームの美学』。

福留 テーマとしてはありかもね。ゲーム。

Aokid 扱えるかなー。自分がプレイヤーになるしかないかな、僕は。設計は無理だから。

福留 プレイヤーになって、ポケモンGO的に街に出ていくっていうのもできるかもしれないよね。なんか、すごい引きこもりの、何をしても外に出れなかった人が、ポケモンGOをやって外に出て、精神科医がショックを受けたみたいなのを聞いたことがあって。

Aokid マリオカートをしながら、ダンスバトルするっていうのをさっき思いついて。マリオカートの勝敗と、ダンスの勝敗と両方あるんです。ゲーマーの人が集まってもおもしろいかなと思ったりもして。あと、有名なゲームのルールを一個、加えるのもいいかなとか。サドンデスで、床が上がってくみたいな。それをブルーシートでやったり。

福留 そういうの田村(友一郎)さんとか得意そうだね。

Aokid こないだChim↑Pomの卯城(竜太)さん達とキュレーションの話をしていて、今、美術の世界で、キュレーションの時代みたいになってきてるけど、結局アーティストの作品は覚えてなくて、キュレーションだけ覚えてるみたいなことを言っていて、でも、アーティストってもっとすごかったんじゃない?っていうようなことを言っていて、それを聞いた時に、逆に田村さんとかは、自分の作品がキュレーションみたいなところあるな、と思って。自分自身がキュレーターである作家というか。

福留 広太さんが「アーティスト主導」っていうのをひたすら言っていて、でも今回の参加していたキュレーターは割と自分でやる人が多かったかな、という気はしていて。

Aokid でもこれをどこでもできるといいなと思っていて。最近僕が考えるのは、例えば「どうぶつえん」とかの場では、自分がこうしたいとか、それを実際にできたりとか失敗ももちろんしながらもできるんですけど、例えばこれが、フェスティバル/トーキョーとか東京芸術祭とかの規模になった時に、同じような自分の態度や距離で果たしてできるかなというのは思って。それができたら素晴らしいなとは思うんだけど、それは本当に可能かな?と思って。でもそういう力を色々な人が身につけていったらそれは素敵だなと思って。そのひとの仕事が遠目にもわかるというか。
大きくなればなるほど、フェスティバルっていうのはわかるんだけど、誰がやってるんだかわからないっていうか。ディレクターはいるし、作品は並んでるんだけど、本当にこの人がこの人を呼びたくてとか、そういうのがなかなか見えないなと思って。世の中ってそういうのがあんまり見えないことが多いけど、見える世界もあるんじゃないかなとか、見えることで動いている街とかもあるかもしれないなとも思って。

福留 そうだね。東京っていうものも向き合う問題としてあるかもしれないし、大きいっていうことに対して、警戒してしまうっていうような気持ちが私はあったりするんだけど、でもそれって同時に、自分の手の届く範囲でできることっていうことでしか考えれないんじゃないかなとも思い始めて。

Aokid 大きくても、手が届くってことが可能なんじゃないかなって思い始めていて。

福留 そうだね。じゃあ、突然まとめますが、次回というか今後に向けて一言ずつお願いします。

Aokid 今日幾つかアイデアが出てきてよかったなと思って。今日話したようなことを、自分の活動の中でも考えていくみたいなことを経ることで、自分がどうなるかっていうのをやっていきたいです。

村社 WWFesで問題に上がることって、普段自分が考えていることでもあるのでとても有意義でした。今日話した中では例えばアーカイブについては来年まさに、新しいかたちのアーカイブをやってみたいなと考えています。三ヶ月くらい延々と公演をするんです。その中で繰り返し来てもらって、三ヶ月のうちの変化を掴んで記述してくださるような人に企画に入ってもらうようなことを考えています。あと、Aokidさんと根本のアイデアがそんなに遠くないんだなというのは発見でした。

Aokid 肘で闘うか、膝で闘うかみたいな(笑)。アーカイブイベントやりたいですね。WWFesを思い出すみたいな。

福留 それは実際にやりたいですね。木内さんたちの空間の模型と、それぞれにやったことの断片のようなものを持ち寄って、報告会的な。トークとかもしたり。

村社 色々な人を巻き込みながらやりたいですね。

Aokid  やりましょう!

福留 ありがとうございました!

[2018.11.16/新宿にて]


村社祐太朗Yutaro Murakoso
新聞家主宰。演劇作家。1991年東京生まれ。2014年に作・演出した小作品が3331千代田芸術祭2014パフォーマンス部門で中村茜賞を受賞。テキストを他者として扱うことで演者に課せられる〈対話〉をパフォーマティブな思索として現前させる独特の作品様態は、演劇批評家の内野儀に「本来的な意味での演劇」と評された。作・演出した作品が批評誌「ゲンロン」や雑誌「美術手帖」にあって紹介されるなど近年注目を集めている。最近作に『白む』(2017)など。
http://sinbunka.com

Aokidアオキッド
1988年東京生まれ。ブレイクダンスをルーツにパフォーマンスアート、イベント、アートへの関心を持ち制作を始める。上演作品は他ジャンルの作家と作ることが多い。「aokid city」や「どうぶつえん」という企画、パーティーの定期開催を行っている。作風は自分の絵から飛び出したようなディティールがあったり、企画は社会への問題意識に自分なりのテイストで接することを意識的に行う。
http://iamaokid.tumblr.com

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