ショーケース
《NEGAERI》
睡眠中の体はどうなっているのだろうか。体重を床にあずけ、脱力状態なのに、寝返りをうっている。健康な大人は、ひと晩におよそ20回も寝返りをするという。しかし、その動きを覚えていることはめったにない。
全身が重力に支配された上に、脱力した状態で、「寝返り」という動きを探ってみる。すると自分の意志とは関係なく思わぬ動きが生まれ、微妙な身体のバランスに気付かされる。それは、思いの外、スリリングだ。
そして、その茫洋とした時間の中で、寝返りを打つ女の動作を、もうひとりの女が見つめ、その息遣いに呼応するように、声・息を重ねて行く。
軟弱で曖昧ともいえる「寝返り」という行為が、空間を繊細に震わせる声と共振し、新たな身体の表徴が立ち上がる。
開催情報
ARICA
演出:藤田康城
出演:安藤朋子
声:山崎阿弥
日時:2025年2月9日(日)13:00−[25min]
会場:リーブラホール
料金:
一般|1日券 3,000円、2日セット券 5,000円
割引|1日券 2,500円、2日セット券 4,500円
申込方法
チケットを申し込むプロフィール
ARICA
2001年、演出の藤田康城、詩人・批評家の倉石信乃、アクター安藤朋子らで設立。作品毎に、多分野の人々とのコラボレーション行い、演劇やダンスといった枠を超え、ヴィジュアルアートや音楽、建築やデザインなどのクリエイティブ・ワークと呼応するパフォーマンスとして注目を集める。多数の海外公演も行い、身体と共振する装置やライブ演奏など、演劇の枠を超え、ダンス、アート、音楽などとも呼応する唯一無二のフィジカル・シアターである。
藤田康城|Yasuki Fujita
演出
東京生まれ。多摩美術大学で現代美術、東京都立大学でフランス文学を学ぶ。1995年劇団文学座・研究科演出部に在籍。2001年から続くARICAの創立メンバー。全作品の演出を担当。2009年、リゲティ作曲のオペラ『ル・グラン・マカーブル』(新国立劇場)の日本初演の演出を行った。オーソドックスな演劇手法・言語に通じながらも、戯曲に主導されるのではない、身体、言語、空間、音楽、装置が緊密に連繋し、演劇、ダンスの領域を越境する新たな舞台表現を探究している。多摩美術大学 統合デザイン学科非常勤講師。
安藤朋子|Tomoko Ando
アクター
1977年太田省吾主宰の劇団転形劇場に入団、その後25年に渡って太田と共に活動を継続、数々の国際プロジェクトにも出演。
2001年演出家藤田康城、詩人倉石信乃らとARICAを創設、演劇やダンスといったカテゴリーにとらわれない身体表現を探り、国内外で新作を発表し続けている。最近は海外の演出家やダンス界からの出演要請も多い。
主な出演作品に『水の駅』『↑』(転形劇場)、『KIOSK』 『しあわせな日々』(ARICA)。モレキュラーシアター(豊島重之主宰)、解体社、映画『清掃する女』(七里圭監督)、矢内原美邦、福留麻里、オル太(映像)作品にも出演。第17回カイロ国際実験演劇祭において、『Parachute Woman』(ARICA)の演技で、審査員特別賞受賞。
山崎阿弥|Ami Yamasaki
声のアーティスト、美術家。自らの発声とその響きを耳・声帯・皮膚で感受し、エコロケーションに近い方法で空間を認識する。音響的な陰影を歌唱と音響彫刻によって変容させ世界がどのように生成されているのかを問う。科学者との協働に力を入れ、天文学者、素粒子物理学者との対話から新しい声と未来のサウンドスケープづくりに取り組む。ACCフェロー(2017)、G&A Mamidakis Foundation Art Prize受賞(2023)、国立天文台三鷹移転100周年記念『100年の宇宙 見つめる眼・歌う声』(2024)、サルヴァトーレ・シャリーノ『ローエングリン』演出・美術(2024)。