Whenever Wherever Festival 2018

公共空間クラブ

トーク:田村友一郎、木内俊克
企画:木内俊克(wwfes 2018空間デザイン)

4/28[土]12:30−14:30
BUoY エリアD
500円(ドリンク付)[予約]


私たちを取り囲み、あるいは私たちもその一部である、物理空間であり、情報空間でもある地球環境において、「公共空間」の所在とそこへの介入について思考実験をおこなう、会員制のクラブ活動として、公共空間クラブを立ち上げる。
クラブとは「会員制の」「共通の趣味・興味を持つ仲間が定期的に集まって形成する団体」を指す。社交クラブ、政治クラブ、文芸クラブ、歴史クラブ、スポーツクラブ、カントリークラブなど様々な類型のクラブが世界各地で人々の生活の中に根付いている。(**Wikipediaより)公共空間クラブも、公共空間の現在的な所在に興味を抱く人々がその関心を共有することで、生活の質を向上することを目的とする。

第一回は、空間の公共性を捉える上でキーになると考えられる、「ここへ来るつもりじゃなかった」というフレーズから想起される連想を軸に、公共空間の所在を探索する。ゲストには田村友一郎さんをお迎えする。田村さんは集められるはずではなかった、あるいはずっと存在していながら必ずしも集められることがなかった、そんなものや情報の断片を収集し、拡張的な現実を醸成する作品を発表されてきた。
当日は、田村さんの作品を起点に、「ここへ来るつもりじゃなかった」いくつかのテキストや映像、建築の作品写真を接続し、そこに立ち上がる公共性の例示とそれらへのアクセス可能性について多角的に語り尽くす。


木内俊克|Toshikatsu Kiuchi
1978年生まれ。東京大学建築学専攻を修了後、Diller Scofidio + Renfro(2005-2007, New York)、R&Sie(n)(2007-2011, Paris)勤務。2012年木内俊克建築計画事務所設立。建築から都市に至る領域横断的デザインの傍ら、コンピュテーショナルデザイン教育/研究に従事。代表作に都市の残余空間をパブリックスペース化した『オブジェクトディスコ』(2016)など。イスラエル・ホロン市開催のUrban Shade Competition(2014)では歩道や広場を横断して設置する巨大なキャノピーによる都市介入で勝利案受賞。

田村友一郎|Yuichiro Tamura
1977年富山県生まれ。熱海市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程修了。2012年度文化庁新進芸術家海外派遣制度によりベルリン芸術大学・空間実験研究所に在籍。 既にあるイメージや自らが撮影した素材をサンプリングの手法を用いて使用し、 独自の関係性を導き出し再構築することで時空を超えた新たな風景や物語を立ち上げる。近年の主な展覧会に小山市立車屋美術館での個展、日産アートアワード2017、横浜トリエンナーレ2017特別企画、「 2 or 3 Tigers」(Haus derKulturen der Welt、ベルリン、2017)、「Mode o f Liaison」 (BACC バンコクアートセンター、2017)、「BODY/PLAY/POLITICS」(横浜美術館、2016)、KYOTO EXPERIMENT 2016、 「物語りのかたち」(せんだいメディアテーク、2015)、メディアシティ・ソウル2014(ソウル市立美術館)、 「これからの写真」(愛知県美術館、2014)、「MOTアニュアル 2012 風が吹けば桶屋が儲かる」(東京都現代美術館)など。 2018年夏には京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAにて収蔵品を活用した個展形式の展示が予定されている。


公共空間クラブ マニフェスト(暫定版)

…ケヴィン・リンチを参照するまでもなく、一人の人間にとっての都市とは何かを考えていると、それはあくまでイメージの集積としてしか存在しえないという考えに辿り着く。人間がある瞬間に体験できる空間は限定されていて、都市という広がりはあくまで記憶や知識の産物だ。そして誰かにとっての都市はまた別の誰かの都市と全く同じものではありえないだろう…それでも私たちは都市について語り、空間を共有する。…あらゆる人の読み取りの自由を最大限確保しながら、まだ存在していない読み取りを誘発し、かつその場を共有される場として調停する…
**「公共空間と情報の所在について」(木内俊克, 2017/10, ArchiFuture Web)より抜粋.


木内参照予定資料

M2(隈研吾, 1991)
Wild Blue Yonder(Werner Herzog, 2005)

サイバネティクス全史(トマス・リッド, 2017)
小さな風景からの学び(乾久美子+乾久美子研究室, 2014)

唐丹小中学校(乾久美子, 2017)
西宮の場合(西澤徹夫+酒井真樹+安藤僚子, 2016)
オブジェクトディスコ(木内俊克+砂山太一+山田橋, 2016)

以上の参照先をとおし、

「 反復性がある、繰り返せる
言い換えられる、置き換えられる
揃っていると思える、ずれていると思える
質的であり量的である
それがただそれでしかない
サイボーグ的である
トートロジーにより指示される
意味によらないパターンとして読まれる
コネクショニズムによりアクセスできる 」

といった、環境やその断片のパフォーマンスが内包する公共性を介したコミュニケーションが、いかに味わい深い質感に満ちているかを検証する。


田村さんへのリクエスト

田村さんの作品はどこから切ってもよさそうに思われますが、中でも上述のトピック立てに関連しそうだと田村さんが感じる作品やそれに関連する話をいただければうれしいです。僕がイントロ10分くらい枠組みを話して、その後30分ぐらい時折こちらからも合いの手を入れさせていただきつつ田村さんに話題提供をいただき、そこから一度僕にまたもらって30分くらいで僕からの話題提供を行う。その先は適宜会場にもふりつつ、そこでの公共性がもつ建築や美術における価値について確認する。
田村さんが何かのインタビューでお話されていた「深さよりも広く横に繋がるものを探していきます」という言葉が印象的で、どこまでも横滑りしていってどこにも焦点を結ばないのだけれど、何かある向きや気分について話していたという印象だけが残るような、そんな会にできればうれしいです。

Photo: Photo:Body Arts Laboratory

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