Whenever Wherever Festival 2021

待機塔

Mapping Aroundness──〈らへん〉の地図
キーワード@7days 巣鴨店

待機は本当は意識することができないが、これは一般的には信じづらい話だと思う。待機というと「ある結果が発表されるまで」や、「わたしの出番がやってくるまで」といった場面を真っ先にイメージするかもしれない。少し先に未来があって、変化を待つある段階のことをわたしたちは待機だと理解している。

ただ待機は、本当は意識することができない。何か目的や行先が明確になったとたん、「待機」は散ってしまうからだ。だから待機は意識することができない。

待機塔が建ったら、遠くからその存在を確認したり、その麓で人と待ち合わせたり、登って四方を眺めたりするといい。みんなでそういうことをしていると、ゆくゆくこの塔は「待機」で満たされるだろう。

わたしたちは、さっき考えたことがなんだったか忘れて、自分が手に持っているものが意外に思えて、知人の急な声掛けに驚く。いつか嗅いだいい匂いがして、体の一部に汗をかいている。でも確かにいま集中していた。

辛く不安だからといって、機を待つ必要はない。「待機」はいつのまにか体を通り抜けていき、そのとき流れた時間を無駄なく、余すことなく消化する。

文責:村社祐太朗

Photo: Photo:Body Arts Laboratory

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