WWFes2023とは
Whenever Wherever Festival 2023
〈ら線〉でそっとつないでみる
身体と場所のアラウンドネス
それぞれの地の過去を思い、現在の記憶を未来へと繋ぐ、架空の地図をマッピングする飛ぶ身体。
WWFes(ウェンウェア・フェス)は、ダンスアーティストらが中心となって運営するパフォーマンス・フェスティバルです。フェスティバルの形態を問いながら東京で実験を重ね、10回目を迎えます。
WWFes2023は、東京都港区を舞台にした三つのプロジェクトで構成されます。港区の三つの場所をフォーカスし、都市を横断する身体でそれらの点を結ぶ新たな創作実践「トライアングル・プロジェクト」、盆踊りやパフォーミング・アートの“教える-学ぶ-創る”過程を交換し、トークシリーズも展開する「ダンスアラウンド」、留学生とダンサーたちが案内役になり、小学生向け多国籍ダンスのワークショップを行う「地球の踊りかた」。
いずれも、港区にすでにある場所の歴史や生活文化のリサーチから出発し、2023年1月から2月にかけて発表や公開イベントを行います。さらに、各プロジェクトが並行して進行するプロセスを、オンライン上で随時公開します。
また、場所を複数の身体が横断するとき創発され形づくられる環境を、〈アラウンドネス〉と捉えてみたいと思います(何かの周辺を指す〈◯◯らへん〉と呼ばれる広がりを思い浮かべてみてください)。そこには、固有の体験や知覚を伴って醸成される、地図とは異なる空間が浮かび上がってくるはずです。ダンスやパフォーマンスと生活空間が隣りあう、さまざまな〈アラウンドネス〉を透かし見ながら発見すること。そして、緩やかに関連しあう複数のプロジェクトを、時空を超えた〈ら線〉でそっとつないでみる試みがWWFes2023です。
「アラウンドネス〈らへん〉」と〈ら線〉とは
場所を身体が横断するとき、知覚や記憶を伴って場所周辺に形成される固有の環境をアラウ ンドネス〈らへん〉と定義しました。前回WWFes2021 では、東京都港区の⻘山で採集した感覚をパフォーマンス化。2023年はさらにダンス/パフォーマンスを通して港区の複数の地点における〈らへん〉をつないでみる=〈ら線〉として結びつけ、新たな像を見出すことがコンセプトです。
関連映像
コンセプト
山崎広太
身体のアラウンドネス
身体を激しく、時には緩やかに動かすことがダンスではない。自身が動かないで電車に乗っていて目まぐるしく変わる風景を見ているときや、歩いて観光することもダンス。ロジックやストーリーによってではなく、ある意味関係ないそれぞれの風景を無理やり身体が無意識的に結んでいること、それができるのがダンスではないか。ダンス、身体は横断そのもの。カフェでお客さんに接客すること、建築現場で働いているとき、そしてふっと休んだときもダンスだと思う。もちろん生花や茶道も。
「今」の身体の感覚を感じ、それに対して時間、空間を感じるときにダンスが始まる。生活の中にはいつでもダンスがあって、それを意識したときに、少しでも身体の内側からの活性を感じたり、休むときにでさえ豊かな時間が流れるのではないだろうか。生活の中にある、どこでもあるダンスをフォーカスして身体の多様性を探りたい。
場所のアラウンドネス
場所は支離滅裂。釣りである磯に行くときに、電車、船に乗って重たい荷物でわざわざ行くわけだけれど、そこについた途端に、あれっここは釣りをするために来たのではないといつも思ってしまう。釣りは二の次だと言い訳してしまう。もちろん釣れなかったことも含めてだけど。そして何故ここに来たのか、自然を探るためなのか、一人になるためなのかとか。そこにはいくらでも選択できることがあって、特に自分は何なのかというアイデンティティに触れることになる。場所にはアイデンティティをくすぐられる。
私たちは多くの場所に出向き、そこで体験したことの対話や、パフォーマンスを展開します。私たちは、どこにでも出向きます。
WWFesとは
Whenever Wherever Festival(ウェンウェア・フェス)は、ダンスアーティストらによるコレクティヴが運営するフェスティバルです。身体をキーワードに新たなパフォーマンスの形態を探りながら東京で実施を重ね、10回目を迎えます。創作プロセスや先鋭性を重視したプログラムを特徴としてきたWWFesは、フェスティバル自体が創作の過程でアーティスト同士が結ぶネットワークとして成り立つことをコンセプトに、その実験精神を交換する場として構想されています。