Whenever Wherever Festival 2012

On The Boat|将来におけるダンス教育についての対話


トピックス

1. ダンス教育が対象とする範囲とは?

  • 現在、ダンスと言えば、ヒップホップやストリートダンスをイメージする見方。学校ダンスの三つの柱(1)創作ダンス・表現運動(2)フォークダンス(3)リズム系のダンス:(1)(3)=自由なダンス、(2)=伝統の伝承。
  • ダンス教育の必修化についてのマスコミの報道。指導要領に現代的なリズムとして「ヒップホップ」「ロック」と明記すること、その語の用法について。
  • ダンス教育の二つの型。高度なテクニックを前提とするダンサーの養成か/そうではない教育舞踊(ダンス未経験の学生に教える)は異なる。後者は、ダンスをツールにし、前者はアート=目的としてのダンス。

2. 教育現場でのコンフリクト

  • 学校ダンス教育の功罪について。「ダンスは体育か芸術か」論争。
  • からだづくりとダンスの違いとは。ダンスしかできない体育教師をつくってはいけない。
  • ダンス=ゴールフリーという概念に、体育の先生がダンスを教えることへの戸惑い。教育の場においてダンスサイエンスがない。
  • 体育でダンスの喜びをどうすれば伝えられるか。自発的なものを教えるという矛盾。踊りたくない人間を躍らせることは難しい。

3. 学校ダンスの実践

  • 学校ダンスは日本の特色。マスゲームなど、半年間同じ動きを部活で学ぶ、ユニゾン重視など、学ぶ学生には充実感がある。
  • 学校ダンスは本当につまらないか? モダンダンスがつまらなくてコンテンポラリーダンスはおもしろいとは一概に言えないのではないか。乗り越えるべき通過点としての、学校ダンス。
  • マスゲーム的ではない、教育ダンスの可能性。事例として「ダンス・プロデュース研究部」(日本女子体育大学)。

4. ダンスが含む表現的/身体訓練的な要素

  • 体育の体系のなかでどのようにダンスを位置づけるか? また個々の教師が実践の場でそれをどう捉えて行なうか? 国による違い。アート、体育、教育…
  • 創作ダンスに必要なものはどのように指導されている? 身体を基盤にすることが抜け落ちる危険について。
  • 身体または身体への意識の「観察」を軸にダンスを捉える。その視点はビジュアルアートや言語表現などにも応用できる?

5. いい教師の条件とは?

  • なぜ踊るのかを経験を通した言葉で発信できること。目標を明確に言葉で伝え与えることができること。
  • 芸術/体育の教員養成の違い。

6. ダンス文化の継承

  • 学校でのダンス教育は必要か? アメリカの大学で、ダンス専攻以外の学生が学ぶことで、別のジャンルを専門とする人々がダンスをサポートする。またinterdisciplinaryコースの可能性は?
  • 全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)で才能が発揮されても、それを発展させる受け皿がない? 教育舞踊を採点する基準とは?
  • 「ダンス人口」をどう考えるか?
  • ダンスを見ることの教育について。芸術か/体育かという二分法がはたして十分か?(そうではない可能性について)
  • 「自由に踊ってください」はモダンダンスの価値観に基づく? 他方で、ヒップホップは別の思想や文化に属する。ダンスを形成するそうした価値観や背景を教育現場でどのように捉えるか? また、われわれにとって伝承すべきフォークダンスとは何か?

[文責:下田伊吹(BAL)]


出演:松澤慶信、武藤大祐、笠井博美
平山素子、伊藤茉野、山崎広太

2012年7月28日
森下スタジオ Sスタジオ

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Photo: Photo:Body Arts Laboratory

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