Whenever Wherever Festival 2010

プネウマとともに―ダンスとことばが出会う場所

「プネウマとともに」は、西村未奈さんのソロから始まった。自身の発する言葉とダンスが客観的に統制されていて、さりげない抽象性と静けさが超クール。日本には、あまりないタイプの作品。

僕の《発する身体》は、たった7回、2時間のリハーサルで、ここまで到達するとは思わなかった。母音から日常言語、万葉集が交差するプロジェクトの到達地点は見えないが、結構日本語の美しさと、発することの壮快感が、お客さんに伝わるし、未来に対しての必然を感じるので、是非継続していきたいプロジェクト。

足立智美さんは、どうなって、いろいろな音が出てくるのだろうと思いながら聞いてしまう。やはりさすがだと思った。

詩人とダンサーとのセッション。空間の言葉とダンスが共存することの、心地よさは通低していた。
三角みづ紀さんと笠井瑞丈くんは、三角さんの発声、歌が、しっかり確立しているので、瑞丈くんのダンスの空間との関係性がいい。
林浩平さんとJOUさんとのジョイントは、林さんは朗読することに徹底していて、パフォーマーとしてのモチベーションをもう少し考えるべき?と思った。
吉田文憲さんと川野眞子さんとのジョイントは、薄暗い中で、川野さんの独特な雰囲気を醸し出すムーブメントと吉田さんの言葉がかなりインティメイトで独特。しかし吉田さんのシチュエーションが洞穴での設定とか、または場所の移動とか低い姿勢の身体のポジションでの発声とかあると、作品が強くなると想像する。二人は、またトライすべき。
僕のキュレーションで、絶対合わない同士をわざと出会わせた、平田俊子さんとAbe”M”ARIAさんとのジョイント。詩とのジョイントおいて、もっとも二人の凄腕パフォーマンスだった。噛み合わない横断性において朔太郎は、うれしがっていると思う。
稲川方人さんと工藤丈輝さんのジョイント。双方の意気込みは、十分に伝わるし、工藤くんの舞踏の身体性を堪能できるのだが、双方が、一緒に結合するような瞬間が欲しかった。
詩人とダンサーとのジョイントは、プログラムとしては、いいと思う。今後は、詩人の方々が、朗読だけでなく、三角さん、平田さんのように、パフォーマンスとして意識して欲しいと思った。それと、ビジュアルアーティストとのジョイントも見たいと思った。

report by 山崎広太


《しゃべる、と位置のダンス》
振付・出演:西村未奈

《発する身体》
演出:山崎広太
出演・コラボレーション:大熊麻希、奥真亜子、霧島寿江、小松杏里、鈴木拓郎、佐久間尊之、滝川登志男、孫智子(jija sohn)、浜田麗子、藤崎香菜、山田有浩、山田花乃、山田洋平

《空間に分配される、言葉になろうとする声、声になろうとする言葉》
足立智美

《詩とダンスのジョイント》
三角みづ紀×笠井瑞丈
林浩平×JOU
吉田文憲×川野眞子
平田俊子×Abe”M”ARIA
稲川方人×工藤丈輝

2010年7月10日
アサヒ・アートスクエア

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photo 稲川方人×工藤丈輝《詩とダンスのジョイント》より


Photo: Photo:Body Arts Laboratory

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