この報告書のなかで、もっとも重要なことで欠落していることが二つあります。
・助成書に関して
もっとも重要なのは申請内容であり、それへの審査として厳しい視点が必要です。それが現実的なのかどうか、どこに独創性があるのか等を軸とする審査を希望します。
申請書類が簡素な1枚の紙を埋めることで通用することは、絶対あってなりません。またDVD他、work sampleの提出が伴わない申請は、評価の対象には絶対なりません。いままでの助成の申請審査は、話題性、知名度、カンパニーの蓄積のみの評価だったのではないでしょうか?
僕は、USしか知りませんが、以下のリサーチ、または、ご相談承ります。
Multi-Arts Production Fund (MAP Fund)
http://mapfund.org/apply.html
New England Foundation for the Arts (NEFA)
http://www.nefa.org/
Japan Foundation, New York
http://www.jfny.org/grant/grant.php
New York Foundation for the Arts (NYFA)
http://www.nyfa.org/default_mac.asp
・リサーチの必要性に関して
もう一つは、世界の流れにおけるリサーチが欠落しています。日本での現在のコンテンポラリーダンスの流れは、世界から見るとガラパゴス化しています。その理由は何なのか、リサーチを希望します。つまり、日本の市場イコール世界の市場ではなく、そうした現状における評論家の評価の在り方にも、疑問を感じざるをえません。こうした孤立状況を認識することによって、日本の助成制度の在り方に、少なくとも影響を与えるのではないでしょうか。
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「3. 新たな審査・評価等の仕組みの在り方について」への意見
今回のPD及びPOの方々の努力も必要ですが、もっと根本的なシステムの問題への証左と、ダンスに関して、将来に渡って、芸術振興基金、そして劇場、オーガニゼーションをもっと機能させ、アーティストと三位一体となったシステムになることへの努力を希望します。
山崎広太[2011.6.8]
Photo: Ryutaro Mishima