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INSECT COUNTRY F
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Azumi Kajiwara
このシリーズは、昨年は「プネウマ」をテーマに、詩人とダンサーとのセッションを中心にしたプログラムでした。その時は詩人とダンサーの関係は、もちろん緊張感があり一期一会的でいいところもあるのですが、一方セパレートで曖昧であったことから、詩人なり言葉を発する人がもっとパフォーマンスに介入することが必要ではないかということから、以下のようなプログラムを持ちました。このようなプログラムを設定できたことに喜びを感じます。
昨今のダンス状況を見ると、身体と言葉の関係が非常にキーポイントになっていると思います。今回は、まだ、それぞれがプロセス過程の作品であり、今回の経験を元に、もっと発展することを望みます。
舞い上がる「私」の理論|宇野さんの言語理論の紹介からはじまり、言葉がいろいろな方を経由してどのように変化していくかの過程を見せていくパフォーマンス。発想としてはユニークであり、言葉の様相としてビジュアル的にも楽しめる。しかし時間の流れがNHK教育テレビの何々講座のようになってしまい勿体ない。ダンスも年齢の若いダンサーだったので、言葉、センサーが発する画像との関係の多様性がなくて残念だった。関係しているそれぞれのジャンルの方々がもっと際立ち、パフォーマンスとしての時間の操作と言葉との関係の遊戯性が垣間見れたなら、新たな上演のかたちとなったと思う。しかし、このように多くの方々から、真摯に言葉と身体というプログラムで勝負して頂いたことは素晴らしいことだと思う。これからの発展するものを見たい。
発する身体|山崎広太を中心に、四谷アート・スティディウム講座「言語/身体ゼミ」参加者の言葉を発する作品。言葉を意味としてのみ捉えるのではなく、視覚的、聴覚的に実践したのが空海。人間が生まれるときもそうだが、まず発するという行為が、もっとも最初の形態であると考える。山崎は、そこで発せられる声をバイブレーションとして捉え、それをムーブメントへと促す。今回の成果は、ほぼダンス経験のない生徒との作品でアカデミックなムーブメントを通していないがゆえに、ある意味、その人しか持ち得ない特殊なムーブメントを垣間見られることです。その関係性から作る作品はユニークなものになると予想されます。今回は、あくまでも授業の一部としての作品発表でした。
INSECT COUNTRY F: Structured improvisation with Dance and Poetry|二人の詩人が偶発的にカードを捲り、読み上げる。その間合いと掛け合いをダンサーが行なう。このストラクチャーは良いと思いました。何故なら、言葉を発する時の個人的な感情を抜きにして、言葉は自動書記的に空間に投げかけられます。そのためにダンサーは言葉に対して躊躇することなく反応できます。一方、どのように反応したのかは、ダンサーの方々からお聞きしたいと思いました。ダンサーは、どちらかと言うとニュートラルにタスクとしてムーブメントを起こすタイプだったので、もっと特殊なムーブメントを持っているダンサーだったら、どうだったのだろうと思いました。一方、個人的に、もっとも興味があるのは、タイトルにあるように「虫」との関係でした。そこを、もっと掘り下げると、どのように発展するのか興味があります。
report by K.Y.
《舞い上がる「私」の理論》
コンセプト:宇野良子
ディレクション:河村美雪
デザイン:石山星亜良
システム構築:鈴木啓介
丸山典宏、大海悠太、林叔克
出演:大森葵、大森郁、大森茜、伊東沙保、藤川琢史
テキスト:円城塔
音楽:松崎遥
記録:小田悠貴(映像)、高田泰子(写真)
協力:宇野研究室(東京農工大学)、池上研究室 (東京大学)、大海研究室(東京工芸大学)、CS-Lab(東京造形大学)
《発する身体》
演出:山崎広太
コラボレーション:佐久間尊之、佐々木智子、四宮羊子、中道侑嗣、中保佐和子、早崎一修、原牧生(四谷アート・ステュディウム 身体/言語ゼミ)
《INSECT COUNTRY F: Structured Improvisation with Dance and Poetry》
企画・出演:中保佐和子
詩:蜂飼耳
ダンス:勝部ちこ、鹿島聖子
虫:石黒曜子
+荒木佐知子、うえだななこ、岡本拓、齊藤マコト、関根麻郎
人間:河内大和
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2011年8月4日
アサヒ・アートスクエア
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Photo: Photo: Azumi Kajiwara