Whenever Wherever Festival 2011

ひらく会議




初めて挑戦する、ハプニング、パフォーマンスを伴った「ひらく会議」。実は、これを行ないたいと思った理由の一つに、2年程前このフェスでの「ひらく会議」で、自分自身が語ることと踊ることを同時に行なった時に、これをもっと発展させるとどうなるであろうと感じたこと。それと、ヨーロッパで活躍しているアメリカ人の振付家、メグ・スチワートさんが、”at the table”というタイトルで、ほとんどダンスらしいが、インプロ・パフォーマンス形式でこのようなことをやっているという理由がありました。
しかし、直前まで、どのように実践したらいいのか見い出すことができませんでした。次第に、ダンスで生きるにはどうしたらいいのだろう、ダンスのある生活ってどういうことだろうというテーマが浮かんできました。何故なら日常の中にダンスがもっと介入することによって豊かな生活の可能性が拓けるのではないかと思ったのです。実際、僕の舞踏の稽古は地下鉄だったりするわけで、少なからずそのことを実践している。そうしたら、ダンスの役割が膨大にあるのではないだろうかと思いつきました。
つまり、日常、会議、ダンスが同居していることを提案している、そのものをパフォーマンスとしてやれるのではないかと。そして、以下のようなことを提案しました。

1. コンテンポラリーダンスは生活に必要か? では何故必要であるのか?
– 実生活において
・台所では(ダンスがあるのとないのとでは生活の幸せ度が違う?)
・地下鉄では
・街では
・トイレとか
などなど。
– 教育の現場において
・数学における空間性を、絶えず身体を通して考える
・文学においてもしかり
・コミュニケーションの在り方として
・自閉症をなくすため、主体的になるために などなど
– パブリックとの関係において
・アウトリーチ
・風土、場所を通して身体の在り方の過去、そして未来を探る

2. 振付の拡張について。振付をもっと広義に捉え、作品創作することのみ振付と考えるのではなく、アーティストとしてやるべきことの拡大とは?
– 教えること。
– 作品の方法論のなかにも社会との関連も見いだすこと(山崎の場合アフリカとの関連で創作、資本主義社会の疲弊と身体との関連、チュウマヨシコさんの活動……)
– アーティスト同士の考えを共有すること
– 制作として
– アドミニストレーターになること、助成の申請をすること、オーガニゼーションを作ること。それらを何故アーティストがするのか?
– アーティストとパブリックのことを考えること

つまり、アーティスト活動そのもの自体、振付と言ってしまってもいいのではないだろうか? どこからでもダンスのエッセンスを引き出すことができるのではないかと想像してしまう。それを皆さんで共有できたらどうだろうと思いました。
でもこれでは、ちょっと何かが足りないと思えてました。そうだハプニングだ!と思いました。急に人が叫び出したり、天上の上に上がって行ったり、つまりどんなことでも許せる状況をわざと作りだすこと。いままで考えた構成が、まったく違う方向に転換しても大丈夫で、全て許容することができるパフォーマンス形式の会議を。

開演よりも早く会議としてのウォーミングアップとして、6時に開始しました。いい感じで進行してました。しばらくして、チラシに既に載せていたことから震災の話になってきました。だんだんと低迷感が、少しずつちらほらと。この展開を覆す方法はあるのですが、心からの真摯な話なので、覆すことができずに、どしんと重くなってきました。ま~これはこれで、いいのではないだろうかと思い。既に、8時15分だし、フェードアウトで終了。もちろん、素晴らしい言語も飛び交ったことも事実でした。
反省としては、パフォーマンスとして成り立たせるハプニング、インプロビゼーションは、ある程度のリハーサルが必要で、参加者と時間を共有する必要を感じました。また結果として、二つの方向性を認識しました。一つには、テキストを中心にしたストラクチャーで行なう。もう一つは、即興ダンスを中心に、ハプニングもありで、トークよりはパフォーマンス形式で行なう。この二つのことを認識でき、個人的にはとても収穫になりました。

report by K.Y.


出演:石山千尋、伊藤キム、遠田誠、木室陽一、幸内未帆、櫻井ことの、鈴木一琥、JOU、田畑真希、チュウマヨシコ、長井江里奈、西村未奈、東野祥子、堀江進司、三石祐子、宮下恵美子、山崎広太

2011年7月29日
森下スタジオ Cスタジオ

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Photo: Photo:Body Arts Laboratory

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