Body Arts Laboratoryinterview

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saki matsumura

―クラスを拝見して、教え方も上手く、また振付家、ダンサーとして生きていくことの意志を強く感じました。それで、これから生きていくうえでのヴィジョンなどお聞きできたらと思いました。いまどのような活動をされていますか?

ダンサーとして客演しています。

―大植真太郎さんのですか?

大植さんのC/Ompanyです。それは、クリエイターとして入っている部分もあります。その活動が一つと、北海道を中心にした、自分の「瞬 Project」があって、地方発信でできないかと、4、5年くらいやっています。それから、コンドルズのメンバーとしても入っていたり、東京で自分よりさらに年下の世代で、女の子限定でいま作品を作っています。それと、自分のソロ作品です。

―将来的には、振付家としてカンパニーをもつ方向ですか?

そういう気になりますね(笑)。

―今、何歳ですか?

29歳。

―若いですね。ダンサーとして、いろいろな方と仕事していると思うのですが、ダンサーとしてもやっていきたい?

そうですね。ずっとダンサーでいたいです。

―僕は、振付することとダンスすることは分けて、自分のカンパニーの作品には出ないのですが、平原さんはどうでしょうか?

本当は分けたいですね。確実に。

―でも、お客さんは慎太郎くんを目的に観に来ますからね。

そうですね。でも今から言っています、僕は出ませんと。

―クラスでも、しっかりした教えをしていて、自分のダンスの方向性、またはヴィジョンをお聞きできたらと思います。

僕は最初、バレエが全然上手くならなかった。一生懸命やっていたのに面白くも何ともなくて。そこから、舞台にでる踊りには、バレエをやれてないといけないところに閉鎖感を覚えていました。でも僕は結構踊れるはずだという思いが幼いときにあった。そこから来ているのです。いまはもちろん、ダンサーはバレエをやった方がいいと思っています。ダンスの閉鎖的なところを、一個一個崩していきたい。演技しなくてはいけないのか、公演中に髪をいじったらいけないのかとか、そういうことを二十歳のときに思った。何で、それをしちゃいけない? それでも成り立つ、それでも成り立つと言い聞かせて、やってきているところがある。それは、ヨーロッパに目を向ける方法にもなる。生っぽいっていうか。それでいまは、生っぽさを裏返るまで生っぽくしていきたい。

―その生っぽさを、もっと具体的に言うと?

そこは素であれば良いってわけじゃなくて、技術、鍛錬、センスも必要で、繰り返し練習していないと生っぽく見えない。僕らの世代って、浮遊感があるというか、結構ふわふわとしていて、何にどう真剣に取り組んでいるのかわからない、形作るのが嫌だとか捉えられる。そういうこととかけ離れたいとは言わないですが、そこも鍛錬したいと。生っぽさには、割と計算も大事だし、わざと癖があるように見せたり、その癖を探していたり。あとは、僕は舞台上でしゃべることは必須なんですよ。しゃべる一歩手前の呼吸。そういうの好きです。

―言葉は抽象的な言葉ですか?それとも具体的な言葉?

具体的にしていきたいですね。

―どういうふうに?

例えば、いまカポエラをやっているコンテンポラリーダンサーに頼まれて、作品を作っているんです。そのアイデアなんですが、10分くらいずっと逆立ちをしてもらい、そのあいだに、僕はこれしかないみたいな言葉をボイスレコーダーに入れて押す。もう説明しちゃう。ふわふわさせないイメージ、それだけっていうものを置いちゃう、完結させちゃうと、どうなるのかなと。つまり言葉を言う雰囲気やシチュエーションを伝えることよりも、事実を伝える言葉だけを言うことに興味がります。ドキュメンタリーチックな展開という意味です。それをすることで、ダンサーその人自身にスポットが当たる気がする。そのこと自体にものすごく興味がある。この前のウェン・ウェア・フェスの「くじ引きラボ」[*1]で、柴田(恵美)さんたちとワークしたときも、僕は言葉を使いたかったですけど、全部、駄目駄目って……。

―井手(実)さんが(笑)。

演劇になってしまう感じというか……それが悪いことなのではなくて、何にでも言葉はついてくる。駄目って言われたたことで、言葉が僕は好きなんだな~と。

―それで降りたの?(笑)

違います。スケジュール(笑)。言葉は面白いですね。

―繰り返しますが、「生っぽさ」とは素、あるいはリアル?

例えば圧迫感を出して欲しいとしたら、急に圧迫感を出してということではなくて、やっている人が圧迫感を感じるシチュエーションに持っていくことは面白いと思います。それが素になれば、それを出してもらいたい。素がいいというよりは、その本人が本当に何か気持ち悪くなったりということが面白い。結構、皆やっているんですけど。

―例えば、どういう人がいますか?

舞踏はそっちのほうにいかないですか? 本当にそこに持っていく。たとえば田中泯さんとか、身体を反ったままで10分くらいして、本当にプルプルってしたとき。作業としてはどうってことはないんですけど。でも、やっぱり僕は、ダンスをやってきたので、絶対身体が効かないと駄目なタイプだと思っている。生っぽさとテクニックの二つは絶対必要。そういう身体が効く人たちがやることが大事なので。

  1. くじ引きラボBackくじ引きによってグループ分けされたアーティストが共同で作品を制作、発表するプログラム。ユン・ミョンフィをキュレーターに、BALのフェスティバル、Whenever Wherever Festival 2010で行なわれ、その3チームの一つに、井手実、柴田恵美、平原慎太郎が参加。発表時は、平原に代わり、田上和佳奈が参加した。