Body Arts Laboratoryreport

1.

「新人振付家育成のためのスタジオシリーズ」[*1]で、約3か月間(2009年3月半ばから6月末まで)、2人のダンサーと共に作品《Keep to small places》のリハーサルに取り組みました。

この機会にあたり、自分がこの2、3年の間に作った小作品を振り返ってみることからスタートしました。10-20分という小作品では、自分のアイデアを提示するだけで終わってしまっていたので、30-40分の作品を創る、というのはひとつのチャレンジでした。また、より深くアイデアを再考するのには、またとないチャンスであるように感じました。
私にとって「ダンス作品」が「ダンス作品」と成りうるのはどんなことだったのだろうか、という観点で見直しを行なってみようと考えました。
私自身は、器用なタイプではないので、実際に自分が失敗も含めてしつこくやることで何かを得て、納得するタイプだと思います。しかし、ここ2、3年、その納得してきたことについていささか懐疑的になっている自分がいました。それは「私が納得していたところは客観的に見ると、とても小さい場所なのではないか」ということでした(今回の作品の題名《keep to small places》の「small places」には、その意味を込めました)。
ダンス作品について、言葉で説明するのは難しい。というのは、ダンスは、言語的体系とは違う種類のものだということです。しかしそれは雰囲気や曖昧な情緒で誤魔化しが効くようでいて、実は曖昧ではない非常にクリアなものである、と考えます。
身体は、トレーニングによって強い表現性を秘めた器のようなものになってくると思います。身体それ自身が、ユニークなものになってくる、ということです。今まで、その器をどうやって創るのか、その器(身体)に、自分の問題意識をどう載せるのか、ということに一番の興味を持ってきました。ダンサーについても、その身体が、何を持っているのかということに注目し、またどのようなムーブメントからそのユニークさを見せることができるのか、ということを試してきました。それにふさわしいムーブメントであれば、バレエだろうといわゆるモダンダンスのテクニックであろうと、日常的なムーブメントであろうとオリジナルなムーブメントであろうと、構わずやってみました。器がしっかりしていれば、ユニークな、エモーショナルなものが自然とでてくるので、それを拾っていくのです。
そこには、ある意味、強固なものができつつあった、と思います。

リハーサルをはじめてから2か月経ったころ、キュレーターである厚木凡人先生にアドバイスをいただきました。アドバイスは、主に「どのようにムーブメントを提示したらよいか」ということでした。たとえば、ちょっとした時間的な「間」や、空間的な「間」が、作品においてはいかに重要なものとなるか、など、魅せるものとしての作品のあり方を教えていただきました。また、厚木先生の舞踊観が、今まで私に与えた影響は大きく、そのことも改めて感じました。

ショーイングを終えて、これまでしつこく追及したことを改めて見直し実感したことで、違った視点を持つことを考えるようになりました。今までのこだわりを前提に、器としての身体だけではなく、その動きの種類や質を発見し意識することについて興味を持っています。また、東洋的身体意識について、あらためて勉強しようと考えています。それを、作品としてどう形にするのか、また少しずつチャレンジしてみたいです。

2.

スタジオシリーズのあり方として、振付家本人の問題意識が重要であると思いました。
その問題意識について、オープンリハーサルやショーイングで客観的な意見を交換できれば、より一層、考えを深めることができると思います。具体的にはショーイングの前のオープンリハーサルを、1か月前あるいは3週間前ぐらいに行なったほうが、良いのではないかと思いました。今回、オープンリハーサルが行なわれたのはショーイングの1週間前であり、自分自身の問題意識の提示の仕方やキュレーター以外の客観的意見を消化しないまま、ショーイングとなってしまったように感じました。
私自身の反省点としては、今まであまり自分の作品について公に話をする、ということがなかったこともあり、その場で的確な説明が行なえなかった、ということがありました。確かに言葉で説明することは難しいと感じるのですが、言葉の重要性も視野に入れていきたいと思います。
ショーイングについては、ダンサーや観に来てくださった方々と、リハーサルを行なった場所で、作品についてのアイデアをシェアできたことは、私にとって貴重な体験でした。

以上のように、今回のスタジオシリーズでの経験は私にとっては、ひとつの節目となったように思います。今後、この経験を生かしていきたいと考えています。

[ふくざわ・りえ|振付家・ダンサー]

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