under the s(e)wing machine
Text|田中さとみ
少女のよう/な少年が湯浴みをしているところ
その衣をとって駆けゆく ケ/モノの姿
羽織ると軽やかに、透明になって飛んでいった、攻殻
機動隊のような、(コルセットの
ただ湯気のあがった柔らかな身頃と言葉だ けが 残
されて
「私よりも、キミは一層若くなる、書肆で、」 0.8
ミリの熾天使が落ちゆ く 、カーディガン(紙庭)
の
水面から浮き上がる crownとみたら
しの水の玉 が 重力に逆らって浮き上が った
球体の本 殿があり
ドローンに取り付け たカメ ラの奥の瞳か ら 水
泡の御簾の鉄観音の奥をじっと見つめる 見つめ返す
人差し指で触れながら ピントを合わせ 自動人 形
(オートマタ)の液晶モニターとカ チリ合う
「ぼくはりゆう氏です」
餡子という犬は見えないダンスを踊っているpathos
「星座は平面的に見ると同じ位置に星が並んでいるよ
うに見えるけど、実際は結び合わせた線にもかかわら
ず互いの距離は何光年も離れている」
とてもいい気分でとてもいい光がたたずんでいた の
尻尾の蝶
「それって、スターシステムのことで、だから僕たち
はいつまでも交わることはないんだった」
メカニックな logosの薔薇窓 〈りゆう氏〉という
御神体の粒子 御簾の奥に控えていた(つるん)とし
た 1センチ程の円の表面のテレビの
小さな龍のパルフェの フローしてい く 鏡音 の
姿
架空の地図をマッピングする飛ぶ身体が羽織っていた
のは表地でもない裏地でもない誰も知らないイド
イト?
縫い込まれていくイト 鳥籠のからだに日々の光景が
滲んでいくlittle birdの生地は湿地の嘴で羽繕いし
刻々と変化していく輪郭線はながるる空気のボタンを
外してひととせの餡子のシャボン玉の散歩する身体に
ボタンをつけるドローンの垂れた紐をもやい結びする
ことによってマカロンの姿を明滅させるファスナーで
あった「パラレルワールドの中で移動できる衣がある
ようだよ」小さな龍のパルフェのフローしていく鏡音
の姿、六つの円相となって踊るunder the s(e)wing
machineメビウスの輪のように絡まっていく新世界
が伸び縮みしている結び目のribbon、リズムをとり
ながらテキスタイルから羽ばたいてい、くlittle
bird‥‥‥架空の地図をマッピングする飛ぶ身体が羽
織っていたのは表地でもない裏地でもない誰も知らな
い Lilas
Lyraの翼から奏でられる重層的なchiffonのタブ
爪で弾く白い蚕蛾のような猫?だろうか
そのまま衣を羽織ると軽やかに、透明になって、芽を
瞑ると見えてくる、文字 蛾
少女のよう/な少年が蝙蝠傘を差してクルクルまわす
内側に蜘蛛の巣が描かれていた裏参道を歩いていく
橋を渡ると浮かぶ青白い顔を憂鬱そうに俯け赤い瞳が
夢だけを見ていたためか溺れている不揃いに波打つス
カートの汀には十字架が刺繍されていて
「シーナが教えてくれたんだ。誰も祈ってなどいな
い。あるのは欲望だけだって。」
扉の前に佇んで黒い榊の袖を頭上に翳している。社壇
の。龍のうろこが二、三枚。首をかしげる裏葉色の餡
子は水のあかるさをいつでもトマトのことを祈ってい
る。
*本稿は、Whenever Wherever Festival 2023のオンラインプログラム「もうひとつの〈ら線〉でそっとつないでみる」の一環として発表されるものである。