前編|クリエーション記録《ダンスタイムカプセル》滞在制作 @芝の家|2
Text|木村玲奈
11月8日(金)晴れ
芝の家 滞在4日目
12:00到着
スタッフはAさん、Bさん、Cさん。
Dさんがいらっしゃっていた。はるさめの辛い韓国スープをいただく。ほたて、昆布、ダシダで出汁をとっていて、韓国用の粉末唐辛子を入れているとのこと。田町駅から歩いてくる途中の飲み屋街にあるおにぎり屋さんですじこのおにぎりを買っていたので、一緒にいただいた。美味しかった!お汁のおかわりもいただいた。
けん玉がやりたくなりトライする。(ここから15:30頃までずっとけん玉しながら話を聞いたりして過ごした。)
かつて、芝の家では、ご飯だけ持ってきたらいいよ、という感じで、季節の野菜を料理したおかずを5〜6種類を持ち寄る方がいて月に3回くらいランチを共にする時期があったそうだ。美味しそう。
はらっぱに柿の木があって採り時だという話。渋柿なのかな?どうなんだろう?明日はらっぱの庭いじり会があるから食べてみるらしい。Dさんが渋抜きもできるから、と言っていた。ホスピタリティ!
スタッフさんから、今日青森の人が芝の家を訪ねてくるとお聞きした。メールで連絡があったらしい。「すごい偶然だよね〜!」とスタッフのお二人。私もびっくり。どんな方が来るのだろう。
前回の滞在時にお会いした常連さんらしき方は、小学生の頃から芝の家に来ていたらしい。やはり常連さんだった。
1/18に芝の家で予定している「《ダンスタイムカプセル》お渡し会+埋める日」についてスタッフさんにご相談した。定員や料金、予約方法などについて。
ひとりで Eくんがやってきた。前にお会いしたFくんのご友人なのだとか。ゲームをきっかけに仲良くなったらしい。今日も芝の家で待ち合わせしているとのこと。ガンダムなどロボットが好きだそうで、この日もお手製のガンダムを持参して縁側で写真を撮っていた。
【Eくんにダンスタイムカプセルのインタビューをした。】
「モノやこと 建物や風景 身体も いつかなくなってしまうから、ダンスタイムカプセルで残したい記憶などはありますか?」
亡くなったおじいちゃんのことを話してくれた。
残しておきたい記憶:幼稚園くらいの時に、おじいちゃんに毎日おんぶしてもらって家のまわりを散歩したこと。 冬で夜で、めっちゃ寒かったのだそう。おじいちゃんは夜の散歩が好きだった。時々保育園にも迎えにきてくれて、チーバスが来るまでカフェで一緒にお茶をしたりもした。
おじいちゃんの遺品を今も使ってる。
おじいちゃんがキーボードを残してくれたからやりはじめた。
この日履いていた靴下もおじいちゃんの遺品なんだよ、と言って見せてくれた。
14:00過ぎ
青森の方がスーツケースと共に芝の家にやってきた。
Gさん。地域の集会所のようなところを運営して3年目になる。本で芝の家を知り、訪れてみたいと思っていたのだそう。
スタッフさん、Gさん、Eくんと話す。
芝の家の歴史を聞く / 昔の芝の家は現・芝のはらっぱのところにあったが、耐震の関係で突然壊すことに→同じ地主さんの場所にプレハブの家を建てた(これが今の芝の家) / ここでお金を儲けてはいけない / 芝の原っぱは町内会が運営をしていて芝の家も協力している / コロナ以降ははらっぱで集まりやすかった / ここらへんだけ昔の街並みがまだ残っている / 次に何かが始まった時は開発されてしまうかも(何年後かわからないけれど最後はある)ので、残せるものは残しておこう / 戦後から住んでる方もいる / いろは通りは変わらないけど、家は変わっている。昔は商店街だった。/ 80代の方は昔の記憶が残っている
青森から来たGさんは、芝の家がどうしてコンスタントに場を開けられるのかとか、スタッフさんのお金についてなど、運営について知りたいようだった。
芝の家のこと
レイヤーが違うスタッフがいる(シフト制) / 生活費を稼げるわけじゃないけど、ここに居るお金じゃない価値に共感している人が多い / 多世代の方が集まる場所だから、そこで自分のスキルを活かしたい(貢献したい)人も多い / 地域の繋がりがある、下町っぽさもあるところ
青森から来たGさんがもっと開けたいと思っている地域の場所について
・近所の方からいらない本を集めている (1700冊 / 本棚はキャスターつき)
・飲み物はお茶とコーヒー
・殺風景なのでなんとかしたい
・本を居場所つくりに使うのはいいよね by 芝の家スタッフ
・若い人を巻き込んでいったらどうだろう?
・小学生やもっと小さい子供たちも来る
Gさんと話すうちに私も津軽弁になっていった。でも正確には彼が話す言葉は南部弁で、私は津軽弁、若干イントネーションが異なる。それでも、東京できく本場の南部弁は、私に忘れていた故郷の空気みたいなものを思い出させてくれた。Gさんは、私が青森にいた頃に働いていた所の関係者だとわかり、どこかで繋がっている人がいるかもね、と盛り上がった。芝の家に来て、まさか青森の人と話すことになるとは。
15:00過ぎ
新幹線がどこかで止まっているらしく、早めに駅へ行ってみるとGさんはスーツケースとともに芝の家を出て行った。一期一会である。
小学生たちは明日運動会らしい。今日は予行練習だからあまり来ないかもとのこと。お祭りが終わり、久しぶりの何もない穏やかな芝の家だとスタッフさんが言っていた。でも少しすると、小学生たちがひとり、ふたりとやってきた。前回ハイチューをくれた女の子が来て、ゆずティーをとにかく振っている。振るとビールになるらしい。いい動き。
子供たちでにぎやかな芝の家の中で、私は《ダンスタイムカプセル》のメインビジュアルについて考えていた。外にある自由に持っていっていいよスペースにあった瓶、キャンディ・カエルの消しゴム、プラスチックのカエルのおもちゃをもらって帰ることにした。私はひとりふらふらと芝の家を楽しむ。Eくん、Fくん、小学生3人は真剣にUNOで戦っていた。スタッフCさんがゆるーくピアノを奏でていた。素敵な音色。私は万華鏡を覗きながらこの空間を楽しんだ。
15:50
以前もお会いしたおじいちゃん(多分90代)Hさんがやってきた。Hさんは私や他の人をみると、以下の話をしてくれる。デフォルトの自己紹介文なのだと思う。一生懸命話してくださる。
三兄弟の1番下
お兄さんは床屋さんをしていた
Hさんは家具職人だった
南海小学校に通っていた
慶應の仲通りで生まれている
ここまでは歩いて来ている
16:00
スタッフさんたちが掃除をし始めるので、帰らなくてはと思いながらも、Hさんが話してくれるのでどうしよう、と思う。Hさんの手がふっくらしていて素敵だったので写真を撮らせていただき、帰らないと!と伝え、スタッフさんたちにご挨拶して芝の家を出た。またHさんと話せたらいいな。
数時間のことなのに、今日も色んなことがあった。思い出しながら田町駅へ。