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「芝の家」は、東京都港区と慶應義塾大学が共同で運営するコミュニティづくりの活動拠点です。2025年2月にイベントを実施するWhenever Wherever Festival 2025(以下、WWFes2025)の一環として、振付家・ダンサーの木村玲奈さんが、芝の家でダンスプロジェクト《ダンスタイムカプセル》のクリエーションをおこなっています。その記録より、10月29日、11月8日、11月15日の3日間分を前編としてお届けします(後編は、2025年1月掲載予定)。

《ダンスタイムカプセル》は、「地域に根差し開かれたコミュニティスペースを運営する芝の家と連携し、訪れる方々(港区に暮らす方)から、いつかはなくなってしまうけれど後世に残したいと思う個人的な言葉や大切な記憶、物語を、振付家・ダンサーの木村玲奈がヒアリングし、そこから振付を考え、ダンスタイムカプセルとしてそれぞれの方へお返しする作品」。プロジェクトが生まれた経緯は、11月15日の記録に綴られています。

WWFes2025は、テーマに「共生と社会と〈らへん〉* 1秒に1秒進むtime machineを一緒につくるということ」を設け、港区立の施設など複数の会場でおこなう、ダンス/パフォーマンス・フェスティバルです。多数のアーティストが協働し、2024年11月より、ワークショップやクリエーションが進行しています。

《ダンスタイムカプセル》は、以下の公開イベントの開催を予定しています(詳細は、ウェブサイトなどで告知)。
・2025年1月18日(土)|芝の家
 《ダンスタイムカプセル》お渡し会+埋める日
・2月9日(日)|リーブラホール(港区立男女平等参画センター)
 《ダンスタイムカプセル》報告会

*〈らへん〉とは……WWFesは、場所と記憶と身体が浸透し、時空を越えて重なりあうような領域を、「周辺」を意味する〈らへん〉と名づけて主題化し、港区エリアで過去2回フェスティバルを展開してきました。


2024年10月29日(火)曇りのち雨

芝の家 滞在2日目

12:00 到着

スタッフは顔合わせの時もいらっしゃったAさんと、芝の家音頭の作曲もしているBさん、初めましてのCさん。

(おそらく)常連さんがソファーでくつろいでいて、スタッフのみなさんはいろは祭りの準備で忙しそう。

出し物のめくり看板が完成していた!
〈をどり★木村玲奈〉いい感じに仕上がっている。私の前の演目が〈三味線アワー〉とのことで、どんな三味線なのか (犬?猫?蛇?) の話をしていたら、ちょうど三味線アワーに出るDさんが立ち寄り話す。犬の太竿 / 津軽三味線 だそう。うちの父も弾くので話が盛り上がった。スタッフさんが「話をしていたらDさん来たね〜」と驚いていた。

木村もいろは祭りのお手伝い。
おりがみで提灯を折る。楽しい。かわいい。

この間に女性がひとり芝の家を訪れ、おにぎりとお茶を飲んで、さようなら〜と出ていった。人によっていろんな使い方が許されているし、スタッフさんはそこへあまり干渉しない、その距離感が絶妙だと思う。

14:00
お祭りで使うスタッフバッジのラミネートを切って、裏に安全ピンを貼るお手伝いをする。

Eさんが手伝いに来た。
スタッフさんのご友人で芝の家は三度目くらい。
美術をみるのが好きだそうで、ダンスについても色々話した。Eさんも私と同じ作業に加わる。

前回の滞在でもお会いしたご近所のFさんと再会。ソファーでくつろいでいた方と親しい様子で、その方から「お腹が減った」と聞くと、「家に麺があるからとジャージャー麺つくってあげる!」と言い、すぐさま完成したものを芝の家へ運んで来られた。すごすぎるホスピタリティ。

【Fさんに、ダンスタイムカプセルのインタビューをした。】

「モノやこと 建物や風景 身体も いつかなくなってしまうから、ダンスタイムカプセルで残したい記憶などはありますか?」

Fさんのこたえは、娘さんとお孫さんがいるから、その存在で充分。他に残したいものはない、とのこと。今が一番幸せなのだそう。人生楽しまないと!とおっしゃっていたのが印象的。他にも記憶に残ることばを何個か教えてくださった。Fさんの為にダンスタイムカプセルをつくるなら、、というアイデアがフッと頭に浮かんだ。インタビュー中、Eさんもそばにいてくださり、3人で話す感じだったのもすごく良かった。

15:00
小学生たちがどんどんやってきて、にぎやかに。
前回お会いしたGくんもやってきて、子供達とボードゲーム。

チョコレートを差し入れたら、子供たちが「チョコ食べていいですか?」と聞きにきてくれた。大切なことは、自分で確認する、スタッフの人はそれを見守る。1人の女の子が、大大吉と書かれたハイチューをくれた。嬉しい。

私とEさんは引き続きバッジ作りをしながら、Fさんとおしゃべり。

とちの実が置いてあってみんなで見る。綺麗な富士額で、どうしても目を描きたくなる。食べるための下処理に1週間もかかるらしい。あく抜きとか。とちの実のお餅とか美味しいらしい。そういえば道の駅とかで買って食べたことあったかも。

あっという間に16:00
スタッフさんが掃除を始めるので解散。お話しを聞いてみたかったHさんは今日は芝の家に来なかったけれど、Fさんにインタビューすることができたし、Fさんともまだお会いして2回目なのに、昔から知っているような気持ちで一緒に居られるのは、芝の家の力なのだと思う。

Fさん「3日のいろは祭りにも来るの?」
木村「青森のをどりを踊るからみてくださいね。でも緊張するな。」
Fさん「せっかく踊るんだから存分に楽しまないと!」

なんだろう、すごく、その言葉に救われる。
スタッフさん達にお礼を伝えて、芝の家を出た。

雨。

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