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Essais(振付コース)について Part 1


2004 年に現在の芸術監督エマニュエル・ユインが就任してからつくられたコースで、2005年から始まり、今期で3期目となる。ダンサーコースが2年間であるのに対して、振付コースは初年度が15か月、2期と今期の3期が1年間と変わり、始まる時期もダンサーコースのカリキュラムを中心に考えられていたため不定期で、今期は2008年11月末より始まった。

フランス文化省の意向で、次期から2年間のマスター(博士課程)が取得出来るコースに変わるため、次期オーディションの時期は今年の春に予定されていたが、2011年に先延ばしされた。これにはアンジェだけでなく、モンペリエなど他の都市の教育機関の見直しも含まれており、政治的背景があるようだ。
ダンサーコース同様、パリ第8大学と提携して、ダンス理論などを学ぶカリキュラムが増やされる予定だ。また、この提携によって外国人に対する奨学金のシステムが変わるかもしれない。現在、振付コースは最低月300ユーロ、最高450ユーロの援助が貰えるが、援助を得ていなくても、親の税金で奨学金が判断される仕組みになっている。それに加え、フランスでは、学生や低所得者に対する援助がある。ただ年々制度が変わり、援助額が厳しくなっていると言われている。

今期の振付コースのメンバーは、フランス、ポルトガル、イスラエル、イラン、ポーランド、ブラジル、日本、スペイン(3月退校)と多国籍で、ダンス、美術、演劇、映画など、それぞれ違ったバックグラウンドを持つ人々が集まっている。そのため、英語でコミュニケーションがなされているが、仏語が必要とされる場合もある。毎年募集人数も変わり、年齢の例外もあるが、今期は 10名、24歳から32歳となっている。また今期のダンサーコースは15名で、18歳から27歳までが在籍し、両コース共に生徒が卒業するまで新規の募集は行なわれない。

内容は、1年を通し、ジェニファ・レイシーとヌノ・ビザロのコーチングの下、個人のリサーチが行なえる、 essais(experiments)の名通り実験的なコースで、年3回アンジェのCNDC内で発表することも選択出来る。それに加えて、今期は3月にパリ、ポンビドゥセンターのLe Jeudi’sプログラムにて、Essais Sonicという、Le quai – Ecole superieure d’art de Mulhouse(ル・ケ・エコール・スーパリエール・ダァ・ドゥ・ムゥルーズ)という美術学校との共同発表を行ない、5月にはフランス、ドイツ、トルコ、ベルギー、ポルトガル、イギリス、オーストリア、デンマークから生徒、教師を招いた11校によるカンフェランス「Schools」が開かれ、希望者はワークショップと発表が出来る機会があった。他に、2月にリア・ロドリゲス(ブラジル)、4月に笠井叡、9月にヴァンサント・デュポン(フランス)各氏によるワークショップがあった。過去には講師として、デボラ・ヘイ、ナタリー・コロンテス、リサ・ネルソン、フランス・ポルストラ、ロバート・スタイン、ロイック・トゥゼ、ヤン・コップなどが招かれている。

振付家が必ずしも学校で振付について学んでいるわけではなく、多くはダンサーを経ていたり、他のジャンルから振付家になるケースも多くみられる。アンジェで学生になり、ベルリン(UdK berlin、大学の実験プログラム)、アムステルダム(School for new dance development)、ブリュッセル(P.A.R.T.S.)、リスボン(Forum Danca)、モンペリエ(ex.e.r.ce)などの学生と知り合ったが、各学校によって、ダンサー養成、理論重視、映像、美術などの他ジャンルの技術習得など、それぞれ力点が異なり、バチェラー、マスターなどのコースによっても履修内容が違ってくる。Essaisの他校と違う特色は、文化庁による給付金と、個人のリサーチに時間と予算が取れ、またダンサーコースの授業も内容により受講出来るという点である。この利点も、アムステルダムやベルリンなどのように、マスターのためのカリキュラムに変われば、実験的なリサーチに時間が取れなくなる可能性もある。

その他には、同じ建物内にある劇場の演劇、音楽、ダンスの公演も無料で見ることができ、マギー・マラン、ロイック・トゥゼなどのアーティスト、カルチャーフランス、批評家、フランスの振付家のマネージャー、ナントの建築学校、ギャラリーなどとのミーティングによって、フランスのダンス状況を知ることが出来た。

[おおとし・めり|ダンサー・振付家]